増殖は単純な2分裂のものが多い。この場合殆ど同じクローンが二つできる。早いものでは分裂した後10分で再び分裂する。しかしながらいくつか異なる増殖様式も知られている。同時に3つ以上に分裂する場合や、出芽によって増えるもの、接合してDNAの一部を交換するもの、芽胞などを形成するものが存在する。
増殖に際してはDNAの複製が行われる。DNA複製は真核生物、真正細菌で異なる点がある(古細菌はよく分かっていないが真核生物に類似すると考えられている)。真正細菌では大腸菌で最もDNA複製機構の研究が進んでいる。複製はDNA上に一箇所存在する複製開始点から開始され、双方向へ複製が進んでいく。詳細はDNA複製を参照。
物質循環と代謝の多様性 [編集]
前項にてあげたが、真正細菌は生物量としても真核生物を凌駕している。またその呼吸活性においても同様で、多細胞生物体と細菌1gの呼吸活性を比較すると細菌のほうが数百倍大きいと言われている。肥沃な土壌4000m2あたりの細菌の呼吸活性は数万人の人間に等しいとされる。これは細胞が小さく体積あたりの呼吸活性を示す表面積の割合が大きいこと、世代時間が短いことがその要因であろう。呼吸速度(炭素、水素、酸素の循環)のみならず、生物を構成している窒素、硫黄の地球全体の物質循環に寄与している。
窒素循環 [編集]
窒素は大気組成の主たる構成要素であるが、不活性な気体である。しかしながらタンパク質のアミノ基に含まれるなど生物体の構成要素として非常に重要である。植物は無機態のアンモニアおよび硝酸同化、有機物態窒素の利用が可能であるが、気体の窒素を利用できるのは唯一窒素固定菌のみである(窒素固定)。また、有機体窒素のアンモニア化、アンモニアを硝酸まで酸化する硝化過程、硝酸塩を気体の窒素まで還元する硝酸還元(脱窒)過程など、窒素の循環に多様な代謝系を持って循環に寄与している。
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硫黄循環 [編集]
硫黄は主に地殻中に豊富に存在するが、元素状硫黄は不溶性で利用が困難である。しかしながら有機物中に存在する硫黄は反応性が高く重要なアミノ酸に含まれている(メチオニン、システインなど)。硫酸塩のみが植物によって同化されるが、有機物態硫黄の分解(最終産物は硫化水素)、硫黄酸化(硫化水素から硫酸塩に戻す)、硫酸還元(硫酸塩を異化的に還元する)などは細菌に特有な代謝系である(古細菌にもこのような代謝系を有するものが見つかっている)。
分類 [編集]
古細菌を含めた原核生物の分類は、形態や表現型のみをもって分類を行うことができる多細胞生物体の分類学とは方法を異にする。原核生物は染色体を1つのみ所持し、対立遺伝子を持たず、かつ、無性的に増殖するために交配を必要としないので動植物に適用されるべき種の概念は当てはまらないことになる。相同組み換えは人間の観察する範囲内において確認されるものの、自然界における頻度を考えると、進化に関与しているかどうかは疑問である。また微生物の個体というものを主として認識するのは困難であり、微生物学的種として認識されているものは同じ遺伝子を持つクローンの集合体(菌株の集団)である。
このような多分子系の実験にて表れる表現形質を徹底的に調べて微生物の種を分類していくのが微生物学における分類学である。そのパラメータとしては、以下のようなものがあげられる。
グラム染色(陰性か陽性か)
構造的あるいは解剖学的性質(直接観察)
生化学的性質(脂質の構造など)
生理学的性質(最終電子受容体など代謝系)
生態学的性質(生育環境、他微生物や宿主との相互作用など)
特に、動植物においては最も重要な構造的解剖学的性質の決定が微生物では困難なために(個性を見出すことが困難なために)、3つの機能的属性に依存して分類が行われる。グラム染色法はその細胞外マトリクスへの取り込み機構は明らかになっていないが、明らかにグラム染色以下の形質を反映するために現在でも有用なツールのひとつである。古細菌概念提唱前はこの点で混乱を招いたことがあったが、現在ではほぼ解決されている。
また近年の分子生物学的発展に伴い、適用の難しかった数値分類学的な(いわゆる客観的な)分類法が重要になってきている。特に16S rRNA系統解析やDNA - DNA分子交雑法といったメソッドは新種認定のための必須事項である。塩基配列決定が困難であった時代はGC含量によって大まかな分類が可能と考えられてきたが、現在でも重要なデータであることは確かだが、含量によって分類以外の特徴を示すことができない。
なお、微生物の新種の記載をおこなっている科学雑誌International Journal of Systematic Evolutionary MicrobiologyではDNA - DNA交雑法を行うことが近縁な2種を分類する最も根拠ある実験としている。正式に発表されている真正細菌は約7000種、植物や動物と比較すると少なく感じられるが、種の定義自体が異なっており単純に比較はできない[1]。また、まだ発見されていない種を含めると100万種以上存在するとも言われている。